exhibition “KAKEJIKU”

kagamiya KAKEJIKU exhibition

2020.4.17 Fri – 28 Tue

 

展示後記

「何本か見ていく?」

打合せが一段落して、池野さんがそう一言。「スクロに合いそうな…」と言いながらいくつか箱を取り出し、その一つを開け、巻き緒を解き、スルスルと開いていく。半分ほど顔を出した画は、池野さんの両手で支えられたまま揺れている。瞬く間にイメージが現れた様子に見惚れていたら、「…これは違うかな」と、またスルスルと仕舞われてしまった。

美術館でガラス越しに見る掛軸は決して動かない。しかし実際は、掛軸には開く・仕舞うという動作がある。当然といえば当然なのだけれど、そのことを意識すると、掛軸というもの、それを取り巻く文化が、西洋の額装絵画とは異なる魅力をもって見えてくるような気がする。例えば茶会の主人は、茶事を開く際に一幅の掛軸を選び、床間に飾る。普段はきちんと箱に収められていて、その場のためにイメージが現れる。その場で人々が過ごす時間もまた、一度限りのものだ。ある意味でとても贅沢な遊びなのだけど、同時に思い出すのは、レコード盤を取り出し、針を落とし、流れ出す音楽。その時の気分や、相手の好みを想像しながら、「一つ」を選ぶ時間もまた、どこか通じるように思う。

今回、かがみや主宰池野さんと店主塚本の交友から当店で初めての掛軸展が行われた。多くの人に実物を見てもらう機会を作れなかったことは残念ではあったけれど、この機会が私たちに教えてくれたことはとても大きく、「壁に絵をかける」ことの可能性を改めて感じている。

 

かがみや kagamiya

東洋の古書画を中心とした金沢の古美術店。 古代の仏教美術から墨跡、文書、近代絵画などを取り扱います。 東洋古美術がもつ普遍性と多面性を活かし、常に新鮮な展示を目指しています。

店主 池野三俊 k-kagamiya.com

 

動画撮影 Nik van der Giesen

 

展示終了後も継続して、今回選ばせていただいた6点をOnline Storeにてご紹介しております。

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