有永浩太 薄紅

Exhibition

有永浩太   薄紅

2021年3月13日 (土) – 28日 (日)

12:00 – 19:00  水曜定休

 

SKLoではこの度、ガラス作家 有永浩太さんの個展を開催いたします。 昨年末と今年2月、二度にわたり工房を訪ね、制作についてお話を聞きました。その中で彼がこれまでの作家活動を通して技術とともに培ってきた、ガラス制作における哲学を知りました。工房で過ごした数時間のあいだ、有永さんのガラス器の魅力の源泉に触れるような瞬間がありました。その実感を、ここに記したいと思います。

 

色をつくるということ

有永さんが自ら素材を調合して作るガラスの色。スキ(透明)、アンバー、スミという基本の3色に、ウスベニ、キイロ、ソーダが挿し色となり、彩をそえます。自ら作ることで、他にない、求めている色ができる。その色は決して個を主張する色ではなく、空間に自然と在るものです。そして、色ガラスで作られた器には、独特の深みがあるといいます。吹きガラスで色を作る方法として一般的な、透明のガラスに色ガラスを重ねて吹く方法では、色ガラスは表面のみ覆います。しかし色ガラスがそのまま器体になると、例えばグラスのステムなど、塊となる部分は色が濃く、逆に薄く吹きあげたカップの曲面などは、限りなく透明になります。そうした濃淡が、ひとつのグラスの中に抑揚を与えます。

 

違うこと

代表作 Bubble Glassシリーズ。並んだ姿はまるで、グラスが思うままに立っているようです。工程の中に、あえてコントロールできない方法を入れることで、すべて違う形になるようにしているそうです。そのほかの器についても、細部を綺麗に揃えることは、あえてしていない。その理由には、近代以前の手製品への憧れがあるといいます。産業革命以前、職人が一つ一つの品物を手作りしていた社会では、職人によって、またその時々に、仕上がりの形が異なることは当たり前でした。大きな視野をもってみると、人間は自然の一部で、自然界には同じものは一つとしてない。違いを楽しむということは、私たち自身を認めるということに繋がる気がしています。

 

装飾ではなく、存在そのもの

有永さんの代名詞とも言える「gaze」シリーズ。ベネチアングラスの伝統技法、レースグラスを応用した表現ですが、彼はこれをガラスの装飾ではなく、布という存在そのものをガラスを用いて表したいといいます。糸のように細い線の集積が不規則にある姿は、まるで布がたゆたう、その一瞬を封じ込めたかのようです。

 

類まれな技術が可能にする表現、研究の末に生まれた色やかたち。工房で有永さんが制作する姿を拝見したとき、竿の先で、ガラスの塊がみるみる間にグラスになってゆく様の美しさに感動を覚えたほどです。その光景は、肩の力が抜けるように自然で、朗らか。できあがった器にも通じる感覚です。有永さんが、ものづくりの普遍性を追い求めた末に、この親しみ深い器があるのだと思いました。

最後に本展のタイトルは、有永さんのガラスの色名「ウスベニ」から名付けました。会期は春、梅が終わり桜が咲き始める頃。そして作品を迎える私たちの店先の壁の色も、なぜか桃色…ということで、作品と場とのご縁を象徴する色として、選ばせていただきました。また、有永さんのガラスの素材への想いをタイトルを通して伝えられたらと思います。(SKLO)

 

 

有永浩太  Kota Arinaga        

大阪府出身。倉敷芸術工科大学でガラスを学び、福島、東京のガラス工房に勤務。卯辰山工芸工房の職員を経て、石川県能登島に工房を構える。  

 

ONLINE STORE

3月15日 18:00から販売開始

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