中田雄一 白釉と地土

 

Exhibition

中田雄一 白釉と地土

2021年4月24日 (土)  –  5月9日 (日)

12:00 – 19:00 

水曜木曜 定休

 

オンラインストア

4月30日 (金)  販売開始

sklo.thebase.in

 

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素材や手順を糸口に作ることが

無理なく循環していることを大切に、

のびやかに、と。

2018以降、循環を意識し始め

1日の終い方や作る時間以外の対応体験の重なりが

素材研究時の個人由来の土台や集中材料の選択の手助けとして訪れていることを

驚きと好奇心をもって迎いいれました。

またこのようなことの誘発させているひとつに

老化による身体の非成長が

自意識と身体の絡れをゆるめさせ薄まってきていることがあり、

そのため今あることの工程や素材に体を向けて

違和感を拾いあげて組立てゆくことに力みがなくなり、

段階的に思考や判断などの内向的仕組み,

仕事や働きとしての外向的仕組みが噛みあいはじめている。

そんな気配の中にいます。

力を入れずに形を伝える

そしてこれは家事でも仕事でも育児でも同じで… 

ただ曖昧さや無知、未完、ブレやズレがもたらす積極的なアプローチが可能で

アート,工芸,クラフト等の多軸の価値観が交差し育まれてきた焼き物を選択することが、

今、面白いなと思っています。

また本展では特に

土の柔淡な印象を白釉を基軸に表現

描くのではなく筆致による気配への興味、

標描、装飾美と素材美の均衡を目指しています。

 

中田雄一 Yuichi Nakata

北海道出身。東北芸術工科大学卒業。金沢卯辰山研修所修了。現在は金沢市内の工房にて制作を行う。

 

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このたび SKLo では、陶芸家 中田雄一さんの個展を開催します。本展では、中田さんが近年主として取り組まれている白い釉薬の器を「白釉」として、また本展開催の契機ともなった、石川県津幡町の土からつくられた焼締めの器を「地土」としてご紹介いたします。

 

 

中田さんとの対話は、彼が素材や製法に対してもっている強い探究心への期待から始まりました。2年ほど前、私たちの中で、店主塚本が稲作をおこなう土地、津幡町笠野地区七黒の山里に、なにか素材を見い出して、ものづくりをしたい(してもらいたい)という構想がふくらみ、はじめに形として思い描いたのが、七黒の土を使った器でした。つくる人もこの土地に根ざした人がよいと考え、中田さんへお声がけし、快諾いただいたのです。それにしても当初は、七黒の土にこれほどの深みを見せていただけるとは、私たちも、そして作家自身も、想像していませんでした。

 

 

実は、中田さんとSKLOとの交流は長く、15年近くになります。2011年、SKLO room accessories が現在の場所に移転した年に、建物の3階のスペースで、中田さんの初個展が行われました。彼の工房に、当時のお碗や土人形の作品がさりげなく置かれているのを拝見したことがあります。十年の月日を経て、再び場と人がつながることに、何か運命めいたものを感じています。

 

 

展覧会の開催が決まり、工房でお話する時間を何度かいただきました。そこで印象的だったのは、彼の制作と生活についての意識です。制作を仕事というカテゴリー内におさめず、食事や育児を含む家族との生活、そして個人としての生き方の中に置きながら、その総体が自然に無理なく回っていくことを理想としているのだということ。その視点は、現代の/この土地の/この社会の/この街にある/工房と家族、というように、大きな視野から身辺の在るべきかたちを眺めているようで、常に実験しながら更新されているのだと感じました。そうした心構えが、彼の手から生み出される器にも反影されているようです。

 

 

制作と生活における、彼の言葉でいう「循環」を意識するようになったのは、2018年頃だそうです。その頃から、それまでの作品のシリーズ展開の要素を、すべて白釉の器に集約していきます。また同じ頃に、ある古美術商との出会いがあり、その方との仕事を通して、古陶の世界における白釉陶器(-デルフト窯の器をはじめ西洋各地で過去数百年のあいだに作られ、日本にも伝わり美意識の一つの潮流を生んだ-)の連綿たる歴史の中に身を投じてゆきます。一つの素材、様式の中に無限にある表現の可能性を見出されたのだと想像します。中田さんは陶器に限らず、古物を見て触れて、実際に使う経験を通して、自身の内にある感覚との共鳴を見つけてゆき、それが制作にも表れています。白釉という主題はまるで、作家自身の写し鏡のようです。

 

 

そして、2019年末から始まった七黒土の制作においては、その写し鏡が自然界の素材へと広がります。地層から土を見つけ出し、精製して陶土をつくる。素材に関わる過程に、中田さんの探究心は惜しみなく注がれていきました。土の粒子や混合物の状態が感知されると、どこを除きどこを残すのか、どれくらいの粗さをもたせるのか、精製具合やその仕組みを変えることで現れる土の変化が面白いといいます。素材との対話です。さらにろくろ成形、釉かけ、窯入れを通して、土の個性が器として表れていく過程に、嬉々として取り組まれている様子でした。「素材や手順を糸口に作ることが無理なく循環していることを大切に」。そうして生まれる器は、表現という意識を超えて、彼自身の器になっています。

 

本展において初めて、白釉と七黒土の器が一堂に並びます。この機会にお手に取っていただけましたら幸いです。

 

(SKLo)