なにもない箱

Exhibition

なにもない箱

Masataka Ohta / ohta

2021. 12. 4 – 26

at S K L o

SKLOではこのたび、太田雅貴個展「なにもない箱」を開催いたします。

 太田雅貴(1979-)は、10代の頃から独学で服作りを始め、20代でブランドを設立しました。2007年、イェール国際モードフェスティバルへの出場を機にブランド名を現在の「ohta」とし、同コンペではファイナリストに選ばれて現地でショーを開催。以来15年にわたりコレクションを発表しています。また、2010年愛知トリエンナーレ参加、2011年「ロッテルダム国際映画祭」映像作品を出展、2012年「Future Beuty 日本ファッションの未来性」展(東京都現代美術館)出展など、国内での発表の場を広げてきました。2014年には金沢で、当店(SKLO)との合同企画「お米と交換」を開催しています。

 子供の頃から描くことや粘土を触ることが好きだったという太田は、自身や知人が描いた絵、写真などをコラージュし、テキスタイルに落とし込むという手法を好んで用いてきました。さらに2010年代後半以降、服作りに関係する/しないを問わず、発表する予定のない様々な制作に取り組んでいます。今回、太田へのインタビューの中で生業と創作について話を聞いていくと、彼の生き方についての思想に触れることになりました。それは、仕事を自身のパーソナリティの一部として、例えばものづくりや、やりたいこと、家事その他の雑事も含めたさまざまな選択肢を同じ俎上に置き、状況に応じて選択するという、独自の生の実践です。そうした考え方が生まれた原点には、彼が自問し続けている「自分とはなにか?」という問いがあります。本展タイトルの「なにもない箱」は、まさにその一つの答えです。それは、あえて言い換えるなら、何事も起こりうる空白のようなものでしょうか。外からの影響を受けて自在に変化する、そのこと自体を認めていくのです。太田は、何かを作ることが、その問いを探ることでもあると言います。また、たとえ何も作らなくても、生活の中に思いついたことやその実践が創作であるとも。

 本展は、太田雅貴のファッションの仕事や創作物、収集物、さらにはインタビューを通して、そんな彼の考え方、生き方を紹介するものです。太田の問いやその答えを求める過程に生じた様々な創作物は、私たちの意識に、少なからぬ気づきをもたらしてくれるのではないかと期待しています。

2021年12月 SKLO