片山弓 版画の仕事

Exhibition
片山弓 版画の仕事
2022年1月8日 (土) – 1月30日 (日)
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片山弓は東京生まれ、70年代後半からイギリスへ渡り現在も同地に暮らしている作家です。
ふと目にした建造物などの部分に、”美”をみとめる瞬間。
そうした感覚を、作家はその特有の抽象表現により、いくつもの版画に込めてきました。
今回は90〜00年代に制作された計23点を展示いたしました。
片山弓 Yumi Katayama
1955年東京に生まれる。78年チェルシー美術学校卒業。86年英国王立美術学校修士号取得。欧州、日本にて個展を開催。イギリス在住。
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カオスの画家
片山弓の絵画には過去の絵画論による説明では収まりきれないところがある。絵はきわめて単純化された画面にさまざまな形態が入り組み絡まったようにみえる。絵は風を受けた窓が開いたり閉じたりするような、三次元の世界に跳びこみあるいは跳び出すかのように見えるのである。ある画面はどこまでも平行的な拡がりだし、別の画面は前からずっと離れた奥深いものを描こうとしている。ある絵は静物画を思わせるし、また次の絵はまるで風景画のようだ。しかしこうした色々な見方できるとしても彼女の作品は場当たり的で無作為にかかれたものではない。
ヴァルデマー・ヤヌシャック
意訳:池田陽子
彼女の制作の出発点は日常生活で何気なく垣間見たもの、身辺の出来事から始まる。
目を刺激するようなものやドラマではなく静かな瞬間。
それは家具や柱の上部にある縁取り、壁面と周りの空間をさえぎる境界線、射し込む光の模様、そそりたつ塔や建物がつくる影やその色調といったものだ。
ヴァルデマー・ヤヌシャック
意訳:池田陽子
(片山弓 ———カオスの画家より一部抜粋)
そのような制作背景をもつ作品が、SKLoの静かな空間で家具や柱、射し込む光の模様を受け、ともに新たなカオス的瞬間をかたち作っていると感じました。
SKLo